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【ミ】エド・ウッド

#33『エド・ウッド』ミテクレビュー

映画史上最低と称される監督エド・ウッドの半生を、奇才ティム・バートンが愛情を込めて描く。伝記映画というジャンルでの最高傑作の一つと挙げてもいいし、同時に何かを作らずにいられない、“創造”の魅力に取りつかれてしまった、そんな人の悩みや絶望、そして希望や夢もすべて包んでひっくるめて賞賛してくれるような逸品。


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■史上最低の監督:エド・ウッド
この映画を観る前に是非観ておきたいのはもちろんエド・ウッドの作品だ。しかし全部をとう所業を課すわけにはいかないので、『グレンとグレンダ』『怪物の花嫁』、そして『プラン9・フロム・アウター・スペース』の三本を見ていれば予習はほぼ完璧だ。この三本で史上最低監督の称号の力を思い知るだろうし、今回紹介する『エド・ウッド』はこの三つの映画を製作する舞台裏が舞台になっているからだ。

どれも口をあんぐりさせるには十分な破壊力を持った兵器たちだが、『エド・ウッド』を観る前のアペリティフとでも思って観てもらえるとより楽しめるはずだ。また三本と『死霊の盆踊り(エド・ウッドは脚本を担当)観たぜ、って言えばWelcome To サイテー映画の世界だ。門はくぐったことになるぜ。

全部観ろとは言わないが、せめて『プラン9・フロム・アウター・スペース』だけは見て欲しい。エド・ウッドの作品群ではまだ映画の体をなしているし、『エド・ウッド』の作中に出てくる登場人物をどれだけそっくりかが堪能できるからだ。

■ノンフィクションとフィクションの狭間で描かれるドリームメイカー
この映画は上記に挙げた三本を主人公エド・ウッドが資金集めに苦心しながら、そして様々なトラブルに苛まれながらもどうにかこうにか完成させてゆく過程を描いている。あんなクソのやくにも立たない作品を支援した為に大損した人がいると考えると心の底から同情する。また、既にどんな作品が出来上がるかを知っていながら撮影の過程を見ていると滑稽であると同時に段々と不思議な気持ちになっている。全体に漂う映画のムードはコメディーなのだが、その裏に潜む絶望という名の闇とクリエイターへ向けられる光がこの映画を徐々に彩ってくる。白黒で撮ったのは大正解だった。

一応、伝記映画の体をなしているが、実はフィクションである要素もたくさん盛り込まれている。例えば、ベラ・ルゴシが作中でやたら汚い言葉を罵るが、実際のベラ・ルゴシはそんな言葉を使っていないと息子は主張している。

同時に映画の終盤、エド・ウッドはバーである超大物監督と出逢うのだがこれはフィクション。史上最低の監督と、史上最高の監督が出会うという劇的なシーンはフィクションだ。だが、そこで語られる会話はこの映画がエド・ウッドの半生を追うことによって表現しようとしている事を見事に表している。二人の映画監督の姿を通して、“夢を作る”人々にエールを送るとても素晴らしいシーンになっているのでお楽しみに。

他にも先ほど挙げた三作品の中で登場してくる意味不明すぎて有名になった迷台詞の数々がどのようにして生まれたかを、さり気なく差し込んでくる辺り上手いし笑える。「糸を引け!」や「ばーかばーかばーか!」、この台詞がいつ出てくるかを注意深く見ているといい。

■ティム・バートンのまなざし
ティム・バートンと言えば奇抜な世界観やセット、幻想的かつダークな雰囲気に彩られた作風が特徴だ。しかし今作は伝記ということでその点は大分抑えられている。しかし世間から逸脱した人物へ向けられる温かい眼差しは残っている。

史上最低の監督で、確かに彼の作品はどうしようもないぐらい酷い。だけどティム・バートンは本当にエド・ウッドが好きだった。それはこの映画におけるエド・ウッドの映画の再現率の驚異的な高さからも伺える。この映画をなぜティム・バートンがメガホンを撮ったのか。実はただ好きだったという理由だけではない気がする。ティム・バートン自身、エド・ウッドとベラ・ルゴシの関係と、ティム・バートンとある俳優の関係と似ている、と述べている。恐らく他人事じゃなかったんだろう。さて、その俳優とは……それはネタバレビューにて。

だけれどもそれに執着し過ぎていないところもいい。ただ愛情を込めて描くだけでなく、一歩引いたから立場からエド・ウッドの馬鹿げた行動を映したりして、ちゃんとコメディーとしても楽しめる要素も残している。それでいて彼への一種の崇拝の念も画面から伝わってくる。このバランスが絶妙だ。馬鹿げているのに、心を惹きつけて止まない人物を見事にこの映画の中に閉じ込めて、エド・ウッドという人物を蘇らせた

他にもどうしてベラ・ルゴシの登場するシーンで何度も「白鳥の湖」が流れるのか、観終わった後に実はこの映画に仕掛けられていたもう一つのオマージュについては後日紹介。

それでは史上最低の映画監督を題材にした最高の伝記映画、そしてティム・バートンの最高傑作の一つ『エド・ウッド』、是非ご覧下さい。

ネタバレビューは2/19に公開予定。
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今村竜士

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